2014年12月9日火曜日

アテモヤその2

やっと念願の「館山産アテモヤ」を食すことができました!

収穫前のアテモヤ。
『ONE PIECE』の悪魔の実みたいです。

アテモヤの味を言葉や文字で表現するのは本当に難しいです。
品種や追熟の度合いによってその味も変わる上に、人によって感じ方も違いますし。

食べた人の意見(ネットでの感想含む)をあげてみると、
パイナップル、バナナ、マンゴー、ライチ、ラ・フランス、柿、
アイスクリーム、ヨーグルト、等々人によって様々。

私個人の感想をできるだけ具体的に述べたいと思います。

・味のベースはマンゴーに近いように思います。
・甘味は、夏に食した生のトウモロコシ(味来やピュアホワイト)を思い出させました。
・種の周りの繊維っぽいところは確かにパイナップル風です。
・皮に近い部分はラ・フランスの食感(これは梨とかにも含まれる石細胞があるため)。
・アイスクリームよりは、酸味もあるのでヨーグルトに近い。
・確かに柿を南国風にしたように感じる部分もある。

といった感じでしょうか。

カットしたアテモヤ。
手前はカットしただけ、奥は皮と種も取り除いたもの。


凍らせて食べると美味しいとも聞いておりましたし、
有名パティシエの鎧塚さんも「Dessert Live 2013」では凍らせて提供した
ということで、私も凍らせたものも食してみました。

うん、確かに凍らせて食べても美味しい!
他の果物を凍らせると甘味を感じなくなって美味しくなくなっちゃいますが、
アテモヤは糖度が高いので凍らせてもちゃんと甘味を感じるからでしょうね。

鎧塚さんの奥様で女優の川島なお美さんはブログにて、
凍らせたアテモヤを「ライチのソルベみたい」と形容されています。

追熟させて食べごろになったアテモヤ。


館山市にある暖地園芸研究所でアテモヤの研究をされている方は、
10年も前から南房総エリアでのアテモヤ栽培の可能性を探っておられ、
現在では「味の良いアテモヤ栽培に南房総エリアは適している」
と結論付けられています。

しかし商用としての栽培に取り組む生産者さんがなかなか現れないそうです。
県内には自家消費用や試験的に栽培する生産者さんはいらっしゃるのですが、
本格的生産に取り組んでおられる方はほとんどいらっしゃらないとのことでした。

現在日本では沖縄と鹿児島、そして三重県などが産地となっています。
南国フルーツなので暑い地域の方が適していると思っていたのですが、
なんと暑すぎても寒すぎてもダメなのだそうです。

そういった気候的な条件と土壌的な条件が、南房総はアテモヤ栽培に適しており、
味と質の良いアテモヤを栽培することが可能であるとのことでした。


ネックとなるのはやはり知名度の低さではないかと思います。

数年前に大ブームとなったマンゴーなんかは、日本での栽培が広がる前に、
輸入等によって「美味しい果物」というイメージはありました。
近年見るようになったパッションフルーツやドラゴンフルーツも、
「食べたことはないけど名前は聞いたことがある」程度の知名度はあります。

しかしアテモヤは「食べたことはもちろん、見たことも聞いたこともない」
という人がほとんどだと思います。

「自分も知らない=他の人も知らない=買う人はいない」
という方程式は確かに成り立ってしまうと思います。


ですがアテモヤの味はお墨付きです。
親であるチェリモヤは「世界三大美果」の一つですし、
世界中の美味しいものを知っているパティシエ鎧塚さんも認めています。

最近『ガイアの夜明け』でも取り上げられ話題となっている、
島根県美郷町の「ポポー」もバンレイシ科なので親戚です。
ポポーは実がなるのに4~6年かかるそうですが、
アテモヤは接ぎ木した苗を植えれば2年目から収穫可能です。

生食でも冷凍でも美味しく、アイスクリームなど加工にも適しています。
(私は加工品としてプリンやスムージーなんかも良い気がしています。)

沖縄などの産地の努力で、少しずつ認知度も上がってきていますし、
メディアでもわずかではありますが、取り上げられるようになってきました。

以上のように館山でアテモヤ栽培に取り掛かるタイミングとしては、
今が絶好のタイミングではないかと思うわけです。

ちなみに言えば、鎧塚さんは冷凍アテモヤを提供する際に、
パッションフルーツのソースを添えたので二つの相性は良いと思われ、
館山でパッションフルーツも生産されていますし。

(もちろん誰でもが取り組めるわけではなく、
一定程度の規模のハウスがなければいけませんが、、、)


実際のアテモヤを食べ、研究員さんの熱意ある説明を聞き、
できることなら館山の次なる特産物としてアテモヤ栽培に取り組む
生産者さんが現れてくれたら嬉しいなぁ、と強く思いました。

サイズ感がわかるように横にマッチ箱を置いてみました。

2014年12月2日火曜日

アテモヤ

先日、館山市内の直売所が連携した組織である「アグリッシュたてやま」
視察研修会に参加させていただきました。

県内他地域の直売所2軒と県内種苗会社の農場の視察という内容でした。

直売所のうち1軒は東金市にある「みのりの郷東金」「東金マルシェ」さん。
今年の春にオープンしたばかりの施設なので、とてもきれいでした。
品揃えも豊富で、外では植木や盆栽も販売されています。

何より驚いたのが、これ。




なんと、東金市で「アテモヤ」が栽培されているのですね。

実物は売り切れでお目にかかることはできませんでしたが、
東金市で栽培している農家さんがいるとは知りませんでした。

あ、アテモヤというのは「森のアイスクリーム」とも呼ばれる南国フルーツで、
「チェリモヤ」「釈迦頭」を掛け合わせて生み出されました。


「チェリモヤ」は世界三大美果の一つに挙げられる果物。
ねっとりしていて甘い、というのが味の特徴のようですが、
人によってバナナ風、パパイヤ風、パイナップル風等、味の感じ方は様々だそうで、
これは多分個体差もあるだろうし熟し具合も関係すると思われます。
英語名は「カスタードアップル」というところから味の想像ができそうです。

アテモヤとチェリモヤは別の果物なのですが、
ネットで調べると二つの説明がごっちゃになっている場合が多いですね。
元々はチェリモヤが森のアイスクリームと呼ばれていたようです。
が、アテモヤの方が日本では栽培しているところが多いようで、
わかりやすくするためにアテモヤを森のアイスクリームと称したのかもしれません。

余談ですが、世界三大美果には諸説あり、
「ドリアン、マンゴスチン、チェリモヤ」
「マンゴー、マンゴスチン、チェリモヤ」
「パイナップル、マンゴスチン、チェリモヤ」などと言われるそうですが、
どの説でもマンゴスチンとチェリモヤは入っているので、
この二つは間違いなく美味しい果物であることは間違いないようです。


「釈迦頭」はバンレイシとも呼ばれ、タイ語では「ノーイナー」です。
お釈迦様の頭みたいな見た目なのでこう呼ばれるとのことです。

タイのノーイナーは食べたことがあるのですが、実に面白い果物で、
皮と実の間になんと砂糖がまぶされている感じなのです!
もうホントほぼ砂糖で、食べると砂糖を噛んだジャリっとした食感がします。
とてもインパクトのある果物で食べたときは本当に驚きました。
英語名は「シュガーアップル」ですので、もうそのままですね。

チェリモヤもバンレイシ科バンレイシ属なので釈迦等と親戚です。
その二つを掛け合わせたのがアテモヤとなるわけです。

つまり「カスタード」と「シュガー」を掛け合わせたということで、
その果実はなかなかの甘さを持っていると想像できます。
台湾ではアテモヤを「パイナップル釈迦頭」と呼ぶそうなので、
そこからも味は何となく想像できそうですね。


と、長々と果物の説明をしてしまいましたが、なぜこれに注目かというと、
千葉県農林総合研究センターの暖地園芸研究所という施設が館山市にあり、
その研究所でアテモヤ栽培の研究も行われているのです。

8月に暖地園芸研究所の試験研究成果発表会に参加した際その事実を知り、
タイでノーイナーに衝撃を受けていた私は、その親戚となるアテモヤにも
非常に興味をひかれたのです。

館山市ではパッションフルーツマンゴードラゴンフルーツといった
南国フルーツを栽培している生産者さんはいらっしゃるのですが、
アテモヤはあまり知名度のない果物だというのがネックとなり、
館山市だけでなく千葉県内でも栽培している生産者さんは
ほとんどいないとのことでした。
(全国で見ると沖縄や鹿児島では栽培している生産者さんがいるようです。)


そんなアテモヤ、日本では冬が収穫のシーズンになります。
館山市の暖地園芸研究所内の施設で栽培されているアテモヤは、
早ければ11月下旬頃から収穫できる、と伺いました。

場合によっては市内でも購入することができるとのことなので、
何とか入手して食してみたいと思っております。

暖地園芸研究所のアテモヤ(8月時点)