収穫前のアテモヤ。 『ONE PIECE』の悪魔の実みたいです。 |
アテモヤの味を言葉や文字で表現するのは本当に難しいです。
品種や追熟の度合いによってその味も変わる上に、人によって感じ方も違いますし。
食べた人の意見(ネットでの感想含む)をあげてみると、
パイナップル、バナナ、マンゴー、ライチ、ラ・フランス、柿、
アイスクリーム、ヨーグルト、等々人によって様々。
私個人の感想をできるだけ具体的に述べたいと思います。
・味のベースはマンゴーに近いように思います。
・甘味は、夏に食した生のトウモロコシ(味来やピュアホワイト)を思い出させました。
・種の周りの繊維っぽいところは確かにパイナップル風です。
・皮に近い部分はラ・フランスの食感(これは梨とかにも含まれる石細胞があるため)。
・アイスクリームよりは、酸味もあるのでヨーグルトに近い。
・確かに柿を南国風にしたように感じる部分もある。
といった感じでしょうか。
カットしたアテモヤ。 手前はカットしただけ、奥は皮と種も取り除いたもの。 |
凍らせて食べると美味しいとも聞いておりましたし、
有名パティシエの鎧塚さんも「Dessert Live 2013」では凍らせて提供した
ということで、私も凍らせたものも食してみました。
うん、確かに凍らせて食べても美味しい!
他の果物を凍らせると甘味を感じなくなって美味しくなくなっちゃいますが、
アテモヤは糖度が高いので凍らせてもちゃんと甘味を感じるからでしょうね。
鎧塚さんの奥様で女優の川島なお美さんはブログにて、
凍らせたアテモヤを「ライチのソルベみたい」と形容されています。
追熟させて食べごろになったアテモヤ。 |
館山市にある暖地園芸研究所でアテモヤの研究をされている方は、
10年も前から南房総エリアでのアテモヤ栽培の可能性を探っておられ、
現在では「味の良いアテモヤ栽培に南房総エリアは適している」
と結論付けられています。
しかし商用としての栽培に取り組む生産者さんがなかなか現れないそうです。
県内には自家消費用や試験的に栽培する生産者さんはいらっしゃるのですが、
本格的生産に取り組んでおられる方はほとんどいらっしゃらないとのことでした。
現在日本では沖縄と鹿児島、そして三重県などが産地となっています。
南国フルーツなので暑い地域の方が適していると思っていたのですが、
なんと暑すぎても寒すぎてもダメなのだそうです。
そういった気候的な条件と土壌的な条件が、南房総はアテモヤ栽培に適しており、
味と質の良いアテモヤを栽培することが可能であるとのことでした。
ネックとなるのはやはり知名度の低さではないかと思います。
数年前に大ブームとなったマンゴーなんかは、日本での栽培が広がる前に、
輸入等によって「美味しい果物」というイメージはありました。
近年見るようになったパッションフルーツやドラゴンフルーツも、
「食べたことはないけど名前は聞いたことがある」程度の知名度はあります。
しかしアテモヤは「食べたことはもちろん、見たことも聞いたこともない」
という人がほとんどだと思います。
「自分も知らない=他の人も知らない=買う人はいない」
という方程式は確かに成り立ってしまうと思います。
ですがアテモヤの味はお墨付きです。
親であるチェリモヤは「世界三大美果」の一つですし、
世界中の美味しいものを知っているパティシエ鎧塚さんも認めています。
最近『ガイアの夜明け』でも取り上げられ話題となっている、
島根県美郷町の「ポポー」もバンレイシ科なので親戚です。
ポポーは実がなるのに4~6年かかるそうですが、
アテモヤは接ぎ木した苗を植えれば2年目から収穫可能です。
生食でも冷凍でも美味しく、アイスクリームなど加工にも適しています。
(私は加工品としてプリンやスムージーなんかも良い気がしています。)
沖縄などの産地の努力で、少しずつ認知度も上がってきていますし、
メディアでもわずかではありますが、取り上げられるようになってきました。
以上のように館山でアテモヤ栽培に取り掛かるタイミングとしては、
今が絶好のタイミングではないかと思うわけです。
ちなみに言えば、鎧塚さんは冷凍アテモヤを提供する際に、
パッションフルーツのソースを添えたので二つの相性は良いと思われ、
館山でパッションフルーツも生産されていますし。
(もちろん誰でもが取り組めるわけではなく、
一定程度の規模のハウスがなければいけませんが、、、)
実際のアテモヤを食べ、研究員さんの熱意ある説明を聞き、
できることなら館山の次なる特産物としてアテモヤ栽培に取り組む
生産者さんが現れてくれたら嬉しいなぁ、と強く思いました。
サイズ感がわかるように横にマッチ箱を置いてみました。 |